忌み者の巻:歳陽
【大敵名簿・忌み物の巻・目次】
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歩離人
造翼者
慧骃
視肉
歳陽
虺裔
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【項目】歳陽
分類
無形目・魂精科・歳陽亜種
概要
歳陽一族は同盟の長きにわたる宿敵で、豊穣の忌み物の中では珍しい無形目の生命体であり、世外妖魔族に属する。其の起源の星はいまだに解明されていない。
其の生物学分類から分かるように、歳陽は固定形態を持たない純エネルギーからなる生物で、多くの文明の記録では「無形者」や「星火の精」と称されることが多い。歳陽は寄生を好むが、肉体(通常は汎人類の知的種族のこと)を司り、感情によって神経系に起こる各種変化を感受する。此の様な「様々な情欲を食する」行為によって、形を有しない歳陽は満足感を覚える。其れに寄生された宿主は衝動に駆られるまま刺激的な行為(暴飲暴食、肉欲、傷害、破壊…)をとることで、体内の歳陽を喜ばせる代わりに、其の莫大なエネルギーを提供してもらう。歳陽が宿主の心をなつかせる過程は、宿主の肉体を消耗させる過程でもある。
『仙舟通鑑』の記載によると、仙舟人が歳陽と初めて接触したのは、仙舟人がまだ長命種となる前の「孤航時代」に遡る。当時天外を漂流する九隻の仙舟は、様々な異様な生命体と接触したが、歳陽は其のひとつだった。屋根を通過した歳陽は、先祖の前まで来ると、自らを形も族類と称し、仙舟に居場所を乞いだ。変化無双な歳陽一族は、様々な幻像を作り出しては、人類を誘惑した。人々はこの奇妙なエネルギー共生物に熱狂し、共に戯れた。
しかし、間もなくして本性を暴きだした歳陽は、人類の肉体を占領し、喜怒哀楽を吸い取り、自由意志を左右しようとした。いわゆる「奪舎の禍」である。中でも最も被害が大きかったのは仙舟朱明。幸いにも仙舟の職人が無形の檻で其れらを捕まえ、未来永劫仙舟のためにエネルギーを提供するよう其れらに命令した。
豊穣の民との「火劫の戦」の終わりに近づいた頃、とある英雄が歳陽の封印を解き、其れと同盟を結び、穹桑の大軍を撃退した。この戦により、歳陽一族も重大な打撃を受け、その首脳は再び封印され仙舟各地の幽囚獄に収容された。わずか残党が逃げ出した可能性もなくはないが、星海には其れらと思わしき痕跡は二度と現れなかった。
*注:此処は少数の学者が擁護するいわゆる「帝弓神話」である。実はこの無名英雄が昇格して帝弓の司命となり、神と成った象徴として放った光矢が建木を切断したというが、まったく事実無根の説である。
生態
歳陽が姿を現す時、機器には高エネルギー電磁波反応が確認できる。無形目生物である其れらは、「人類にとっての可視光線の周波数範囲を避け、形跡を隠すことができる。しかし自らの存在を宿主に知らせる時には、緑青色の「火炎」(熱エネルギーを持たない)として姿を表す。「星火の精」と呼ばれる所以でもある。
すべての歳陽の個体は、人類が重い物体を押し進める時と同じように、一定空間内のエネルギーのバランスを変えたり、エネルギーの形を自由に変換することが可能。エネルギーを弄って光学の映像を生成したり、燃焼や結氷、振動等の現象を引き起こすことが可能。原始文明からすると鬼神のような能力を歳陽一族は有している。姿を現す際の「火炎」の体積の大きさから、歳陽の個体の強さや、支配可能なエネルギーの量を判断することができる。
寄生する宿主の数が増えるにつれて、歳陽の個性も次第に成熟し、個体差が生まれるようにある。十王司の記載によると、其れらは宿主の脳から学習するという。
科学技術
歳陽の科学技術における成果は皆無である。其のエネルギーを操る性質は、精密テクノロジーとの一定の排斥を起こすためである。
政治
歳陽は豊穣の忌み物とされているが、「豊穣の民」の陣営に現れることは極めて少ない。逆に、嘗ては仙舟と同盟を結んだことさえある(短期間のみ、詳細は上述参照)。
歳陽が制圧されて六千年以上経ったため、その組織形態についての考察は難しいが、わずかに残った記録によると、其の個体同士は「融合」によって、より大きな「火炎」を形成するという。
(ページ下部に小文字の添え書きが数行ある)
「仙舟朱明にこの妖怪が封印されてるって?」
「その通り。朱明の人は其れを『火皇』と呼んでいる。それより、工造司にも似たような牢屋があるじゃない?青鏃より」
「危険だね…」
「朱名の人は火遊びに夢中だからね…青鏃より」
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