采翼の交換日記
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御空、あなたと肩を並べて戦えるのは嬉しいわ。
組み分けの名簿が配られた時は、二人が別々になってしまうんじゃないかと思って、緊張しすぎて開けられなかったわ。別れたくない訳じゃなくて、あなたのその燃え盛る炎のような性格を考えると、他の人に任せるのは心配なの。
戦場に行ったら、熱情に任せたがむしゃらな行動はもうやめること。動く前に後のこともちゃんと考えなくちゃダメよ…ここまでにしましょう。じゃないとまた説教好きの上司だって言われちゃうものね。とにかく、力を合わせて、それぞれの長所を発揮して、広い空に私たちの伝説を残しましょう。
あなたと共に空を翔けることを楽しみにしているわ、眠れないほどに。
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御空、泣かないで。悲しむ必要はないわ。
まったく、死んだのは私の旦那よ。どうしてあなたの方が悲しんでるの?軍に入って結構経つのに、まだこんなに感情豊かだなんて、羨ましいわ。
戦闘艦の飛行士は常に九死一生。この道を選んだのなら、心の準備ができてる。重要なのは生きて帰れるかじゃなくて、飛行士として価値のある人生を生きれるかどうかよ。
広淵と彼の相棒は、たった二人と一隻の戦闘艦で、歩離人の艦隊一つを足止めできたのよ。彼らは英雄として戦死した。私にとっては、それでもう十分なの。
こんな言葉を聞いたことがあるわ。人生最大の幸せとは、己の死に方を選べること。そう考えれば、仙舟同盟のため…いえ、全銀河の人々のため、一生戦って、戦場で死んだことは——たぶん広淵にとっても幸せよ。
でも、あなたにこんな幸せが訪れないように祈るわ。大人しく後200年くらい生きて、最後は老死しなさい。
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御空、久しぶり。私はまだ産休中で、元気にしてるわ。
戦況が膠着してるから、あなたも忙しいでしょう。でも時間があったら、交換日記を書いてね。無事だってわかるから…それに、話したいことがいっぱいあるのよ。
まずは報告しないとね、子供の名前を決めたわよ。
広淵が生前に言ってたんだけど、男の子なら「飛龍」、女の子なら「飛鳳」って名付けたいらしいの。でもあの人の文学の造詣は永狩原野の猿と同じくらいだから、いくら故人を偲ぶと言っても、彼の下手な案で娘の人生を壊すわけには行かないわ。
だから色々考えて、やっぱりあなたが提案してくれた「晴霓」にしたわ。
「月営が射圃を開き、霜旆が晴霓を拂う」、あなたが詩を典拠にするだなんて驚いたわ。頭の中の全てが戦闘艦かと思ってたから。
もう数ヶ月休んで、晴霓を預けたら、軍に戻るわ。晴霓はまだこんなに小さいのに、私はこの子を放って戦場に行ってしまう…なんて言うか、私は母親失格ね。
でも私だって分かってるわ。戦況は芳しくない、歩離人は破竹の勢いで向かって来てる。新聞社はできるだけ恐怖が蔓延るのを阻止してるけど、羅浮の人々はみんな不安になっている。
でも、仙舟同盟は必ず勝つと信じてる。私やあなたみたいな戦士がいれば、豊穣の民を返り討ちにできるわ。
また共に出撃する日を楽しみにしてる。
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御空、明日、私たちは残酷な戦場に向かうことになるわね。
だから今夜のうちに、あなたに頼んでおきたいことを伝えるわ。(ちょっと不吉だけどしょうがないわ。こんな頼み、お互いやった事ないでしょう?)
もしあなたが生き残り、私が死んだら、晴霓をあなたに頼みたい。自分の娘のように、あの子を育てて欲しいの。あなたなら絶対にそうしてくれると信じてるわ。私の貯金を全部渡しておくから、晴霓の養育費にして。
たとえ晴霓がどんな人になりたいと言っても、彼女を全力で支援して。商人、詩人、大道芸人、何でもいいわ。ただ、戦闘艦の飛行士だけはダメ。
勝手に約束を交わすことを許して。絶対に、晴霓を戦闘艦の飛行士にさせないで。
軍に入ったばかりの時、あなたは交換日記でこう書いてたわね——戦闘艦は寂しく空中にぶら下がってるだけで、なんだか海の真ん中の夜航船みたい…よく聞くんだけど、その感覚は「孤独」なんだって。でも私はそれを「自由」と呼びたいわ。
その言葉、大好きなの。私もそう思っているから。
でも、「孤独」だろうと「自由」だろうと、私もあなたも十分味わったでしょ。約束して、あの子を空に触らせないで。
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