クァワカン断崖
ナタ
世界百科
クク竜が共に暮らす「花翼の集」の集落。部族の者は毎日のようにクク竜と共に、空から故郷を見回っている。
ステータス
名称: クァワカン断崖 · 種別: 用語解説 · 地域: ナタ · 実装バージョン: 5.2
サブエリア
1. 「花翼の集」1.1. 集落の特徴の集落は、常に強烈な山風が吹き抜けるクァワカン断崖の頂に位置する。この断崖の特殊な環境に適応するため、集落全体に足場や階段、桟道が網目のように広がっている。階段にはメンテナンスのコストを最低限に抑えるため、極限まで軽量化された木製のものが使われている。足場や桟道は、空中に吊るしたり底に気球を取り付けたりすることで耐用年数を伸ばしている。気球を翼と見なせば、これらの足場は高い山に突き立てた巨大な爪のようにも見える。花翼の集は最も誇り高い部族の一つで、自身の優位性を示すために勝負をしたがる。しかし建物の装飾や改造に関しては一定の制限が設けられている。クァワカン断崖のような特殊な環境では、過度の改造や装飾が建物ないし環境全体の安全性に脅威をもたらし、深刻な事故を招く恐れがあるからだ。そのため、装飾を施せる箇所を建物の構造や形式を変えない範囲内に制限している。また、花翼の集の周囲には壁画を描けそうな崖は数多くある半面、地上絵を作れるほどの広さの平地は少ない。1.2. 部族の聖物集落の中心に鎮座する黒曜石のトーテムポールは、の信仰に重要な存在だ。この聖物は「部族の大霊と直接繋がり、人々の要望を聞くことができる」と伝えられており、この柱がある限り人々は空を飛び続けられると信じられている。現在、この聖物の管理とメンテナンスはアバンディが担当している。討伐懸賞や物資要請などの依頼を受注し、完了することで部族内の評判を上げられる。1.3. 飛行試練場飛行試練場はただの訓練施設ではなく、多くの飛行隊の隊員や準隊員の運命が決まる場所であるため、トーテムポールの次に重要な場所だと言う者もいる。飛行隊は遠い昔、全土を巡回して護る役割を担う精鋭部隊でもあった。竜騎士を目指す者は厳しい訓練を経てクク竜の承認を得なければならない。そしてエリート飛行隊に入るためには、飛行試練で高度な技術を見せ、クク竜に認めてもらう必要がある。族親や族長もかつて飛行隊の達人だった。ムトタは族長として厳しくしすぎたり、ルールを作りすぎたりしないよう心がけているが、「花翼の集」で行動する時には注意と忍耐が必要だと述べている。ナタで一番気位の高い竜と言われるクク竜を仲間とする部族の竜使いは、多くの者がクク竜と同様の性格だからだ。関連任務:1.4. 失翼者たち飛行試練に合格する者は一握りで、幾度も失敗してやる気を失い、空への憧れさえ手放す者もいる。部族ではこうした者を「失翼者」と呼ぶ。一部の失翼者が空への未練から日々「灰燼の都」を眺めて過ごす一方、自らの運命を受け入れ、新たな道を見出す者もいる。たとえば「バルーンシューティング」と「サウリアンシャッフル」は失翼者が管理するもので、飛行免許を持っていない者でも自由に挑戦可能で、報酬を得られる。1.5. イファの診療所集落には竜医の診療所がある。診療所の滑らかな線で色鮮やかに描かれた看板は、イファの友人が最も真剣に作った作品だ。イファは助手のクク竜・カクークと共に、全土からやってくる患者を診察している。1.6. 「七聖召喚」協会認定プレイヤー集落にはの協会認定プレイヤーであるがいる。ウツィルは部族の守衛で、竜に祝福されたカード――つまり竜に関連するカード全部を集めようとしている。彼が先生と呼ぶ「フリーダ・パレット」の店主アイヤは、彼のためにクク竜仕様のカードの裏面を描き上げた。ムッキは飛行隊の新人メンバーであり、人と竜の交流に使う楽器「竜笛」を制作している。1.7. マニフェコ・ド・マニフェサンスは旅の途中、の集落の南で子供のような姿をした奇妙な男に出会った。彼はの元の刑事で、マニフェコ・ド・マニフェサンスと名乗った。彼は退職後に写真家となり、人とモノが持つ生命力を記録しようと決意し、元素の生命力が光り輝くへとやって来たという。旅人と出会ったとき、マニフェコは喉の渇きにより死にそうだったが、旅人が飲み物をあげて一命を取り留めた。彼とはの集落で再会し、角度や照明にこだわったうえでイクトミ竜を撮影したいと旅人に依頼した。三度目の再会は断崖の南側で、クク竜が水面に向かって急降下するところを写真に撮ろうとしていた。滝の下の池にクク竜を誘う餌を仕込んだが、クク竜は望む角度で飛んでくれなかった。最終的に旅人がクク竜に憑依して撮影を手伝い、完璧な写真を撮ることができた。マニフェコが最後に撮ろうとした写真は、花翼の集の集落北西のテペトル竜だった。マニフェコが撮影の構図を考えていると、ちびが何かに気づいた。ちびの後を追うと、旅人は檻に閉じ込められた駄獣と密猟者を発見した。駄獣を救出し、ちびが仲良くなると、マニフェコは二匹の触れ合いの瞬間を写真に収めた。駄獣を放置するわけにもいかず、マニフェコ自身も荷物を運んでくれる相棒が必要だったため、彼はこの駄獣を連れていくことにした。関連任務:1.8. 竜医マズカルと治療の現場の集落の東で、は女性を襲うクク竜に遭遇した。旅人は女性を助けるために竜を追い払ったが、実はその竜が治療中に暴れ出したことが分かった。竜医マズカルと名乗った女性は、そのクク竜がいつも治療を拒むため、代わりにちびから薬を飲ませてほしいと頼んだ。彼女は二種類の薬を用意し、治療効果が良い方は苦く、竜が好きそうな味の方は効果がいまいちだという。ちびの助けによりクク竜は無事に治療を受け、マズカルのもとへ戻った。関連任務:関連項目:1.9. 地方伝説・鉄髭マズカルと出会った場所の北には、夜神の国へと通じる黒曜石のトーテムポールがある。そこでは崖の上から来た勇士、地方伝説・鉄髭と戦うことができる。ハンマーを操る戦士にとって、炎は衝突と爆発、そして激情と情熱を意味する。彼らにとって、戦いとは一瞬にして勝敗が決まるものであり、勝者とは自分たちのことだ。1.10. アコミトの葛藤クァワカン断崖の南部を旅していたは、地下室に閉じ込められ、竜の密売人に囲まれているアコミトという青年を発見した。旅人は密売人を追い払ったが、アコミトはそこから出ることを拒んだ。近くにいたクク竜から地下室への入り方を教えてもらい、アコミトの元へたどり着いて事情を聴いた。彼は最近飛行試練に合格して飛行隊の正式な隊員になったばかりだった。見習いの頃は正式な隊員を目指して、必死で先輩たちの背中を追いかけて訓練に励んでいた。しかし、日々の訓練で蹴躓いたことで心が折れ、自身の能力を疑うようになってしまった。それを両親や姉に相談もできず、些細なことで怒るようになった。しだいに食欲もなくなって、夜も眠れなくなってしまったという。やっとのことで試験に合格して正式な隊員になると、次は隊長の背中を追いかける日々だった。どこに行っても自分より才のある者ばかりで、まるで「やっと飛べるようになったホタルが、必死で雀を追いかけて、やっと追いついたと思ったら、今度は流れ星を追いかけなきゃならない」ようなものだと語った。そんな時、密売人に声をかけられ、つい勢いで「竜なんかとっとと攫っていけばいい」と言ってしまったが、彼らが本気で乗っかってくるとは思ってもみなかった。その後、地下室に隠れていると出るに出られなくなってしまい、旅人に見つかったというわけだ。彼は旅人に救出された際に、飛行隊を辞める正当な理由を考えてほしいと頼んだ。旅人はアコミトが「通りすがりの冒険者にすら負ける成績だ」と証明するため、彼の家族が訓練用に造った飛行試練を受け、最高記録を塗り替えた。しかし、飛行隊隊長は彼の脱退申請を承認しなかった。その後、飛行訓練のトレーニングマスターである父親のコヨニ、姉のマニョーヤと弟のマターガに再会したアコミトは、飛行隊を辞める覚悟を固め、家族もその選択を尊重した。関連任務:1.11. 受注可能な世界任務2. 集落北側の海岸2.1. 幻写霊と「トントンドラゴン」とマニフェコが駄獣を檻から救出した砂浜には、未完成のラクガキがある。これを完成させるには、九体の幻写霊を見つける必要がある。そのうち三体は「トントンドラゴン」というゲームに挑戦することで見つけられる。ルールは、竜の像の背中に乗って前進し、トントン幻写霊のカウントダウンが「トン!」になった瞬間に像から降りられなかったら負けとなり、最初にトントン幻写霊のもとへ駆けつけた者が勝者となる。次の三体の幻写霊は、イクトミ竜の能力を使って砂の上でマルバツゲームをすることで獲得できる。最後の三体は、彼らと一緒に遊び、壺の中に赤い物を入れることで集められる。2.2. 謎煙の主の見習い祭司コヌラフ断崖の海沿いで、の見習い祭司コヌラフに三つの異なる場所で出会う。彼女の修行は終わりに近づいており、部族の年長者から「ナタの各地の先祖が残した宝があるから、その宝を探してこい!」と言われていた。修行を名目に集落から追い出されてしまったようだ。ある時は、動物の足跡を辿れば宝が見つかると聞き、駄獣の後を追って拠点に辿り着いたが、泥棒と誤解されて竜運搬車に閉じ込められた。またある時は、部族の年長者から先祖のがよく他の部族と賭け事をして彼らを騙していたと聞かされ、「お前も賭け事をして勝利をその手に掴んでこい!それでこそ真の謎煙の主だ!」と命じられた。コヌラフは竜の試合を観戦してイクトミ竜に賭けたが負けてしまい、檻に閉じ込められてしまった。年長者たちは彼女に世界を見るための3度目の旅を提案したが、彼女はヒルチャールに捕まって檻の中に閉じ込められてしまった。関連項目:2.3. 簡易港クァワカン断崖の砂浜の北端には、から来た人々を受け入れるための簡易的な港がある。この港は、かつてファデュイ執行官第七位「傀儡」のために働いていた元工作員・卓新が関わった事件の後、炎神の指示で建設された。卓新はという名のロボットを断崖の下にある古代の龍の遺跡へおびき出すことを強要された。この遺跡はの創始者リアンカの育ての親である至高なる領主 第八席「花燭と矢羽根の司祭」の領地だった。その地には至高なる領主 第十一席「曙光の鏡」の意識の一部が封印されていた。イネファの内部には第十一席のコアがあり、サンドローネはそれを欲していた。ファデュイが排除された後、卓新は妻のアームーと娘のアディエッタと共にナタに留まり、自分と同じナド・クライからの難民たちを助けている。2.4. チャスカの古巣クァワカン断崖の北の小さな島は、クク竜と共に育ったの古巣である。チャスカが実の両親に捨てられたとき、クク竜のチンプが彼女の母となり、コヤが彼女の姉となった。チャスカにはクチバシも爪もないが、当時は自分を竜だと思い込んでいた。チャスカが人間社会で暮らし始めると、コヤはチャスカに自分と一緒に野外で暮らすよう提案した。チャスカは同意も拒絶もできず、姉はチャスカの迷いを裏切りと見なして激怒し、長い間交流を断っていた。2.5. 地方伝説・トゥパヨの加護このサブエリアの最西端には黒曜石のトーテムの挑戦があり、大霊の化身である「トゥパヨの加護」と戦うことができる。が信仰し崇拝する「大霊」は、トーテムと夜魂の力を借りて地上に顕現する存在である。遥か昔、大霊が顕現した時の姿は今とは異なり、ずっと荒々しく黒曜石に似ていたという。しかし、大霊の化身の姿がウォーベンによって記録され始めてからは、ほとんど変わっていない。「花翼の集」では、「大霊」は炎と燃焼を操る力を持ち、熱と灼風の流れを掌握することができると信じられている。3. マリナルコ洞窟3.1. 深遠なるミミックパピラクァワカン断崖の下にある洞窟の入口は二つに分かれている。左に進むと、深邃暗晦の歪んだ異界からこの世に降臨した、植物に似た形態を持つアビスの魔物「深遠なるミミックパピラ」が待ち構えている。この歪な魔物は大地の奥深くまで侵蝕し、そこから抽出した記憶を操り、模倣する。過去の記憶は、より穢れ、より深遠な姿へと歪められる。魔物はこの行為を通じて徐々に世界樹の核心へと迫り、その存在の根幹を揺るがそうとしている。テイワットの侵蝕をこのままにしておけば、最も古い記憶さえも歪んだ形で現れるかもしれない。一説によると、この魔物は光に含まれた色彩を絶え間なく歪め、漆黒の情報に変換するという。体を広げる際、虚空に向かって突き刺すように伸びる枝は、この説を裏付けるかのようだ。3.2. 封印されたラクガキの洞窟洞窟の分岐を右に進むと、変わった果実が実っており、その果汁からは上質な染料が作れる。これはがウォーベンの染料として使ってきたものだ。謎煙の主はこの洞窟をラクガキの創作場所に選んだが、完成する前に他の人に見られないよう洞窟を封印した。その後、洞窟に入れたのは二百年前の大シャーマン、ウィツィリンだけだ。洞窟を開くには、特殊な色――すなわち「記憶」の色を識別する力を持っていなければならない。洞窟内のラクガキには、悪い魔法使いルーミを追う英雄クントゥルの物語が描かれている。ラクガキに描かれた果物を正しい色に染めると壁が開き、進むとクントゥルが魔法使いを追いかけるシーンが描かれている。絵の中でルーミに支配された部族の戦士が行く手を阻んでくる。イクトミ竜の力を使い、敵の戦士をラクガキから取り出して召喚し、倒すことで洞窟の下層への扉が開く。最後のラクガキでは、幻写霊とラクガキの不思議な力を使うことで、クントゥルは狡猾な魔法使いルーミに追いつくことができる。関連任務:関連項目:
背景知識
1. アビスとの大戦1.1. アビスの汚染の歴史の地脈とは、かねてよりアビスに深刻に汚染されていた。五百年前の災厄後も完全に放逐できず、アビスが残した影響は何百年もの歳月をかけて続いていた。当初はアビスの破壊衝動は原始的なものと考えられていたが、後に夜神の国の記憶を読み取り、部族の弱点を的確に突くようにデザインされたものだと判明した。そして災厄から五百年後、アビスはナタ全域に対して本格的な大規模侵攻を開始した。このときファデュイ執行官第一位「隊長」とその指揮下のファデュイは、炎神と協力してアビスに対抗した。1.2. 五百年にわたるマーヴィカの計画は五百年前の災厄を直接目にしていた。当時、部族の団結によってアビスの侵攻は一旦退けられたが、それは表面的な勝利に過ぎなかった。計算ではが完全にアビス化するまでに最大で五百年と導き出されたが、当時多くのナタ人が家と家族を失い、荒野を彷徨う状況となっていた。を再び一つにしなければアビスを倒すことは不可能だと判断した炎神と各部族の英雄たちは、長い議論の末、五百年にわたる大規模な計画を立てた。この計画では、次の炎神が滅びた各部族を復興させ、時が来れば大霊が初代炎神の仲間の古名を持つ六名の英雄を選ぶことになっていた。炎神は自らの命を聖火の中に託し、五百年後に再び生まれ変わる計画だった。1.3. アビスによる総攻撃の開始五百年後、マーヴィカが生まれ変わり、計画に必要な六人の英雄があと一人で揃うという時点で、アビスが総攻撃を仕掛けてきた。聖火の力が弱まり、マーヴィカも十分に対抗できる力を発揮できない状況は、アビスにとって千載一遇の機会だった。の戦士たちの抵抗も虚しく、クァワカン断崖はすぐにアビスに侵蝕されてしまった。1.4. 六英傑の集結が最も被害が甚大なの救援に向かう途中、聖火競技場の近くで魔物に囲まれたと妹のに遭遇した。魔物を退けたものの、クイクは重傷を負い、アビスの力を浄化しても手遅れだった。チャスカは幼少期からアビスの力を体に宿しており休眠状態だったが、妹を亡くしたことでその力が暴走しそうになった。しかし彼女は自らの意志でアビスの力を抑え込んだ。この出来事を機に、五百年前の英雄はチャスカを古名の継承者として認め、ついに六英傑が全員集結した。クイクの亡骸を競技場に預けると、旅人とチャスカはのもとへ向かった。マーヴィカの計画に必要な六名が一堂に会し、英雄たちの力と神座の力によってアビスを退けた。炎神の力の加護により、これまで破壊できなかったアビスの忌瘤をようやく破壊し、反魂の詩はあらゆる命を守った。マーヴィカはグーシィ・トースに立ち向かい、よりも深き場所へと退けることに成功した。1.5. 戦後の傷痕アビスとの戦いが終結した後も、多くの人々がその爪痕から立ち直れずにいた。と六英傑の一人でのはの復興を支援した。一部の部族の戦士は、強いアビスの力に突然触れたことで、身体だけでなく精神に異常をきたす者がおり、これはアビス侵蝕症候群と呼ばれた。発症した者は、長期間にわたる情緒不安定な状態や落ち込み、認知の混乱といった症状に苛まれる。アトコという犠牲者は、四年前のアビスの襲撃で亡くなった相棒の竜ドゥアルテを呼びながら、アビスと戦う最中に溺れたと思い込んでいた。旅人は彼を焚火で温め、相棒に似たクク竜に憑依して近づいた。アトコはその竜が相棒ではないと気づき、幻覚から目覚めることができた。コチッタという犠牲者は、子どもの頃に両親がアビスとの戦いで血の海に倒れるのを目にし、幼い弟と二人きりになった。そのとき、コチッタはわずか十一、二歳だった。コチッタは訓練に励んだが、そのトラウマを克服できずにいた。しかし数年前、魔物が彼女の家を襲い、他の戦士が駆けつけたとき、コチッタは震える手で武器を握りしめ、丸くうずくまる弟をかばっていた。目の前に倒れた魔物に見向きもせず、ただこう繰り返していた——「クアリーは私の最後の家族よ。必ず守ってあげるから」。それ以来、彼女は別人のようにアビスと絶えず戦い、頼もしい戦士へと成長していった。トラウマを克服したと皆が喜んだが、実際は恐怖を心の奥底に押し込んだだけだった。そして、アビスとの最後の戦いで、抑え込んできた感情が露わになり、アビスへの恐怖に憑りつかれた。旅人たちはコチッタを助けるために、残ったアビスの魔物と戦うところを見守った。そして彼女は幻覚から目覚め、アビスはそれほど恐ろしくない敵だと再認識した。オコトランという犠牲者は、周囲の人々をアビスの魔物だと思い込み、父親さえも魔物にしか見えなくなってしまった。彼は優秀な戦士であり、簡単に動揺せず戦意も失わないため、治療はより困難だった。この戦士の窮地を助けたのはファデュイ執行官第一位「隊長」だった。彼は五百年前の災厄の際、兵士たちが同じアビス侵蝕症候群になるのを目の当たりにしていた。当時、の軍医グスレッドはアビスの影響を取り除く精神薬「静幻剤」を開発した。彼は一日でも早く開発を行うため、自らの身体で実験を行い、開発成功後間もなくして亡くなった。薬には不定期に訪れる頭痛に一生悩まされるなどの強い副作用があるため、重症者に限って服用が許可される。イアンサと旅人は混乱しているオコトランを抑え込み、素早く静幻剤を口に入れた。そのおかげでオコトランは悪夢から目覚め、父親を再び認識できるようになった。関連任務:2. 燃素の翼2.1. 族親アルパの過去飛行試練に合格する者は一握りで、幾度も失敗してやる気を失い、空への憧れさえ手放す者もいる。部族ではこうした者を「失翼者」と呼ぶ。自らの運命を受け入れ、新たな道を見出す者もいれば、一時は戦意を失っても再び燃え上がる者もいる。族親はかつてのアビスとの戦いで負傷し、失翼者になって何年も外をふらついていた。目的もなく彷徨っていた時にテパルという子を産んだ。テパルの誕生はアルパに希望を与え、「この子の母親は空を駆ける騎士であるべきだ」と考えるようになった。しかし父親は部族に戻って子供に安定した生活をさせてやりたいと考え、言い争ううちに家族の関係は崩れていった。父親はこだまの子で新しい妻を迎えてテパルを引き取ったが、アルパは一人でに戻った。2.2. 燃素の翼の開発と悲劇それから何年もテパルと会わなかったが、ある日テパルが飛行試練に参加するためにの前に姿を現した。しかしテパルはクク竜に拒絶されて失翼者になり、アルパは再び苦しんだ。そして二人は協力して背中に装着する装置「燃素の翼」を開発した。これは手に持った「制御ボール」で気体燃素の流れを調整して飛べるというものだ。テパルはの技術を利用し、雲の上に隠れた巨大な「空中工房」を建設した。研究の中で、クク竜は生まれつき気体燃素を上手く操れるため、クク竜から気体燃素を抜き取り、制御ボールに利用できることを発見した。テパルはクク竜の利用を望まず、人工的に気体燃素を精錬する方法を研究していたが、実験中の事故でテパルと多くの仲間が犠牲になった。2.3. アルパの野心と反乱は亡くなった息子の「すべての人が同じ青空を分かち合う」という夢を叶えるため、クク竜を使った実験を開始した。実験のために攫われた竜の中に、部族の英雄の姪にあたるチメも含まれていた。チメを取り戻そうと母親のコヤが人々を襲撃し始めた結果、アルパはコヤの捕獲を命じた。コヤによる襲撃はアルパにとって好都合で、クク竜の危険性を示して不満を煽るために利用された。さらにアルパは、飛行試練で燃素の翼の使用を許可し、失翼者でも飛行隊に入隊できるようにしようとした。アルパはこれが部族をさらに発展させると信じ、部族の族長などの保守派に危害を加えることすら厭わなかった。空中工房にて、とチャスカがアルパの計画を阻止し、工房に捕えられていたクク竜たちは救出された。アルパとの対決の際、の遺物が暴走して爆発寸前となったが、間一髪で空中工房の集落への墜落は避けられた。多くの民が族長ムトタやクク竜の擁護に立ったことで、アルパの一派の謀反は失敗した。空中工房の大部分は解体され、残された無害な部分にはアルパとその仲間が収容された。関連任務:関連項目:3. パパッカ飛行スクール3.1. ラミザナの不審な行動ある日、パパッカ飛行スクールの訓練場で、は少年タルカと彼の相棒クク竜オベロンに出会った。タルカはスクールのトレーナーであるラミザナが不審な行動を取っていると疑っていた。ラミザナはタルカの姉リヴァにもちょっかいを出しているという。ラミザナは飛行コンテストを主催することになっていたが、助手のパランに丸投げしていた。タルカはまた、ラミザナと別の人物が何かの支払いについて話し合っているのを盗み聞きした。タルカは旅人とパイモンにラミザナを尾行するように頼み、旅人たちは半信半疑ながらも引き受けることにした。タルカから教わった断崖西部の拠点に潜入し、見知らぬ二人が飛行コンテストに届ける物資についての立ち話を盗み聞きした。パイモン、ちび、イクトミ竜に憑依した旅人が立ち去ろうとした時、クイリアという女性に見つかってしまった。彼女は不審に思い、イクトミ竜(旅人)を別の場所に連れて行こうとした。ちょうどその時、パイモンがの入った箱を倒して騒ぎを起こし、その隙に乗じて脱出した。タルカのもとへ戻り、拠点での出来事を報告していると、パランが白い犬ガレフを連れて現れた。コンテスト参加者が辞退したため、代わりにリヴァの対戦相手として旅人に参加してほしいという。旅人は承諾したが、パイモンはパランの声に聞き覚えを感じて訝しんだ。3.2. ラミザナの計画の破綻飛行コンテスト当日、はリヴァに勝利した。しかしゴールにタルカと相棒オベロンの姿がなかったため、探しに行くことにした。捜索中、イクトミ竜に襲われているラミザナを発見した。旅人が助けると、ラミザナはオベロンとタルカが連れ去られたと告げた。その後、ラミザナは自らの計画を洗いざらい話した。リヴァに男らしい姿を見せて気に入られようとしたのだった。ラミザナとタルカのコースは旅人たちのコースと経路が異なるが、ゴールは同じだった。先に出発するラミザナたちの方が先にゴールに到着し、旅人とリヴァが後から到着したタイミングで、タルカが竜に襲われている場面を目撃させ、ラミザナが颯爽と救うという算段だった。しかし計画は制御不能に陥った。クイリアの訓練された竜が予期せずタルカを襲い、連れ去ってしまったのだ。クイリアは「金髪の若者と白いペットを連れている者が犯人だ」と告発したが、その特徴は旅人・パイモンと、パラン・犬ガレフの両方に当てはまるものだった。潔白を証明するため、旅人たちはその場を逃れ、タルカの捜索に向かった。3.3. 真相と決着旅人は拠点近くから漂ってきた良い匂いを嗅ぎ付け、を発見した。そこでクイリアが裏で糸を引いていた証拠も見つかった。旅人たちが拠点に潜入すると、タルカはちび竜ビスケットに夢中なオベロンを置いて既に自力で逃げ去った後だった。旅人はオベロンを連れて帰ろうとしたが、クイリアと彼女のイクトミ竜ケダマに阻まれた。竜同士の戦いで、ちびとオベロンは連携してケダマを打ち負かし、クイリアは敗走した。一行が飛行スクールに戻る頃にはタルカも帰還しており、何が起こったのか真実を明らかにした。関連任務:4. クントゥルの物語4.1. クイールとウククの出会い伝説によると、遥か昔、クイールという者が遠く離れた星に住んでいた。クイールの父である太陽は、彼女が持つ力を大切に守るようにと言い含めた。地上の人々が夜空を見上げるように、彼女も地上の部族の生活を面白そうに見下ろしていた。ある日、クイールはあまりにも前のめりになり、うっかり空から落ちてしまった。星は地上に落ちて輝きを失い、彼女の力も砕けてあちこちに散らばった。力を失ったクイールは二度と空に戻れなくなった。長い間荒れ地をさまよい、多くの困難を乗り越えたが、何も得ることはできなかった。ある日、クイールは偶然にも部族の狩人であるウククに出会った。クイールの事情を知ったウククは、彼女が失くしてしまった星の欠片を探し、一緒に家に送り返すことを約束した。二人は共に旅を始め、山々を登り、洞窟を探検し、敵を倒し、友人を作った。次第にクイールは地上に慣れ、ナタ人と同じような生活を送るようになった。4.2. ウククの秘密と二人の別れ数年の探索も実りはなく、クイールは失われた力が既に他の生き物に見つけられてしまったのかもしれないと考えた。彼女はウククに、長い追跡の旅に疲れてしまったかどうかを尋ねたが、彼の答えは「すまない」という一言だった。クイールは、彼が不器用なハンターだと思うと同時に、自分のことを大切に扱ってくれたことを思い出した。その後、クイールとウククはクントゥルという子を授かり、部族の一角に居を構えた。しかし、仲の悪い隣人プチカがクイールの前でウククの悪口を言い始めた。最初は聞き流していたが、何年も繰り返し聞かされ、疑いを持ち始めた。そこでクイールはウククの心の内を知るため、冗談を交えながら探りを入れた。追及に耐えかねたウククは、ついに秘密を打ち明けた。実は旅の途中でいくつか星の欠片を見つけていたという。ウククはクイールに恋をしてしまい、欠片が見つかると星に帰ってしまうと考え、隠してしまったのだ。それを聞いたクイールは悲しみと怒りを感じた。星の欠片を返すように求めたが、ウククはそれを拒んだ。こうしてクイールはウククの引き留めを無視して部族を離れ、荒れ地の放浪に戻った。まるで本物のナタ人のように、広大な地面に巨大なラクガキを残し、太陽である父が見つけられるように願った。クイールの父はその願いを聞き届け、すぐに彼女を空に連れ戻した。残されたウククは、嘘と裏切りが太陽の怒りに触れ、太陽が放った金の矢で失明した。以降、彼がいる場所では太陽は雲に隠れ、一筋の陽光も差し込むことがなかったそうだ。4.3. クントゥルの少年時代クイールが天に戻った後、ウククは部族に残り、幼いクントゥルを一人で育てた。部族の者は支え合う親子を追い出しはしなかったが、二人を煙たがった。なにせ二人が現れれば、必ず太陽は分厚い雲に隠れ、日光が遮られるからだ。やがてクントゥルは血の気がなく青白い顔の少年に成長したが、彼の目は母親に似て星々のように煌めいていた。彼はイクトミ竜の仲間と共に暮らすことを望んだが、暗い場所でずっと過ごしたがるイクトミ竜などいるはずもなかった。仲間が見つからないことを笑われた時、クントゥルは嘲笑した子供たち全員に拳でやり返した。最初は負けてばかりだったが、すぐに学習し、力を付け始めて力で屈服させるようになった。4.4. 魔法使いルーミの襲来ある日、みすぼらしい恰好をした老人が部族にやってきて飲み水を求めた。部族の者は彼を哀れみ、ある人は家に招待して料理を振る舞った。しかし、老人は七日食べ続けても満足しなかったため、家主は彼を追い出した。老人は部族の善良さにつけ込み、他の家々を訪ね歩いた。結局、誰もが彼を追い出した。そんな中、クントゥルの家だけは老人を招かなかった。その後、この老人は悪名高い魔法使いルーミが化けていたと判明した。ルーミを招き入れて胃袋を満たせなかった者たちは皆、彼の恐ろしい呪いにかかってしまった。彼らが悪夢から目覚めた時には、部族にいた竜たちがすべてルーミに攫われてしまった。竜たちを取り返すため、部族は最も強い戦士三人をルーミに差し向けたが、誰も帰ってこなかった。部族の者たちが自信を失いかけたその時、クントゥルが名乗りを上げた。4.5. クントゥルの勝利ルーミは霧を起こしてクントゥルの行方を阻んだ。太陽に嫌われているクントゥルなら、日差しが霧を払うことはないと考えたのだ。しかしクントゥルは幼い頃から目の見えない父から狩りと追跡の技術を学んできたため、声や気配を頼りに正しい道を見つけることができた。ルーミは次に、言葉が話せる三匹のパパッカ――ルーミによって姿を変えられた三人の戦士――をクントゥルのところに送った。三人はルーミが自分たちを騙した時の言葉を使い、クントゥルを騙しにかかった。しかし、クントゥルは嘘偽りを激しく憎んでおり、彼らの言葉が嘘であるとすぐに見抜いた。数々の試練を乗り越え、クントゥルはようやくルーミのもとへ辿り着き、攫われた竜たちを見つけ出した。ルーミはクントゥルの肝をつぶしてやろうと、恐ろしい魔法を繰り広げた。しかし、空に届くほどの大波でも、灼熱のマグマでも、所詮まやかしにすぎず、彼を退けることはできなかった。ルーミは魔法で竜たちを使役したがクントゥルの相手にならず、霧に姿を変えてその場から逃げていった。クントゥルは竜たちを解放し、中でも最も勇敢な一匹を見分けた。クントゥルはその竜と共にルーミを追おうとしたが、竜はそれを拒んだ。無理に竜を従わせるとルーミと何ら変わりがなくなってしまうと悟ったクントゥルは、竜を逃がして一人で旅立った。クントゥルはルーミは動物に化けるだろうと考え、長い間追跡したが何の成果も得られなかった。ある日、彼は以前解放したイクトミ竜の聞き覚えのある声を耳にした。イクトミ竜はクントゥルを相棒として認めていたため、こうして舞い戻り、クントゥルを導きにやって来た。相棒の協力によってルーミはとうとう隠れ蓑を失った。そしてカピバラに姿を変えて水中に逃げ込んだが、イクトミ竜が翼で竜巻を起こし、クントゥルはその風に乗って追跡した。驚いたルーミは今度は鳥に姿を変えて空に逃げようとしたが、クントゥルはイクトミ竜と共に空を飛び、ついにルーミに追いついた。逃げられないと悟ったルーミは大きな岩に姿を変えたが、クントゥルはその岩をがっしりと掴み「飛べ、相棒!もっと高く!」と叫んだ。全ての雲を突き抜けるほどに高く飛び、そこでクントゥルは初めて太陽を目にした。彼が何かを言いかけようとした時、太陽は分厚い雲を呼び寄せて彼らを取り囲んだ。クントゥルと相棒は雷雨や嵐が巻き起こる雲の中を突き抜け、クントゥルのまつ毛には白い霜がつき、ルーミが化けた岩もカチンコチンに凍ってしまった。こうした数々の危機を乗り越えて、クントゥルと相棒は部族へと帰った。ルーミが姿を変えた岩はふさわしい場所に置かれることになった。パパッカにされていた三人の戦士も、ルーミが石になったことで魔法が解け、無事に人間に戻った。三人はクントゥルを騙そうとした羞恥心と後悔から、彼のことを避けた。こうしてクントゥルは部族の者たちに自らを証明し、栄誉を得た。しかし、彼にとって何よりも重要だったのは、ついに自分にイクトミ竜の仲間ができたことだった。関連項目:5. 至高なる領主 第十一席「曙光の鏡」5.1. 「領主」と「矛盾」数千年前、は炎の龍王と十三の至高なる領主によって支配されていた。至高なる領主はシウコアトルによって秘源の技術で構築された十三の意識であり、古代の龍族を凌駕する知恵と権力を持っていた。二千年前、その多くが初代炎神や古代の英雄との戦いで命を落とした。至高なる領主 第十一席「曙光の鏡」は、龍族の中で最も傲慢で人類を敵視していた。彼女は戦いを生き延びたものの、帰る場所を失った。龍として守り続けた誇りも、領主として授かった土地も、二度と帰ることのできない故郷となってしまった。彼女は「人類を引き裂き復讐を果たす」「新たな帰る場所を見つける」という無数の問いかけと葛藤に苛まれた。その果てに、人類への復讐を望む「領主」と、新たな帰る場所を求める「矛盾」という二つの意識に分裂し、異なる実体に宿った。「領主」は己の零落を認められず、「帰る場所を永遠に失う呪い」をかけた。あるとき「領主」は、クァワカン断崖に位置する第八席「花燭と矢羽根の司祭」の領地にある装置を利用しようと画策した。「領主」は当時のナタの六英傑の一人であるイキとリアンカを騙し、「矛盾」こそが抹消されるべき脅威だと吹き込んだ。しかしその企みはすぐに見破られた。最終的にリアンカは「領主」の油断を逆手にとり、第八席がかつて築いた堅牢な封鎖体系「シバルバー」に「領主」を封印した。「人類に対して本当に善意を抱いているのなら、その善意は彼女の意識の中で何倍もの苦痛を生み出すことになる。」5.2. 「領主」の打倒イキは、リアンカの母(第八席)が遺した古代の遺物「月の輪」を「矛盾」に組み込んだ。月の輪とは、月の三女神と信徒たちが意思疎通するために使われたものだ。その後、リアンカは「矛盾」が新たな帰る場所を見つけられるよう、海の向こうへと旅立たせた。さらに、「矛盾」が「領主」の影響を受けないよう、封印を固めて第八席の領地を封鎖した。その後二千年間、「領主」は第八席の領地に封印されていたが、自分の意識を檻の隅々にまで染み渡らせ、封印の解除はもはや目前となっていた。そしてその最後の鍵となる「矛盾」の中のコアを手に入れようとした。「矛盾」のコアは、長い放浪の末、の天才技師によって見つけられ、という名の万能型ロボットに改造された。しかし「領主」がかけた呪いは消えず、イネファは帰る場所について考えると痛みを感じ、たびたび記憶喪失を起こすようになった。記憶喪失を治すためにイネファがを訪れたとき、「領主」は第八席になりすまし、自身が封印された地下遺跡へと誘い込んだ。「領主」は、意識の繋がりや呪いの影響を断ち切るには、その地の秘源装置を利用して徹底的な改造を施す必要があると説明した。しかし「領主」がイネファの体を乗っ取った瞬間、イネファは数秒の隙をついて自身のコアを破壊した。イネファは自壊を阻止するために呪いと向き合い、リアンカの埋めた「最後の鍵」に触れたことで新生の月の輪が光を放った。そして呪いを断ち切り、「領主」を打ち破った。関連任務:関連項目:
出典: HoYoWiki (HoYoverse)